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マーケティング活⽤サロン【エルシャーム】

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1313 view 美容室
公開日: 2021.02.18 最終更新日: 2021/02/26

美容室に必要な売上はどれくらい?安定経営の方法まで

美容室に必要な売上は?安定経営に向けて売上を伸ばす方法

美容師として独立した方にとって、店舗を成長させることは、大きな目標のひとつです。美容室やヘアサロンの数が多い中で売上を伸ばすためには、他店舗にはない工夫が必要となります。

しかし、経営者としての経験がなく、美容室オーナーの売上がいくらあればよいのかわからない方は多いでしょう。美容業界の平均的な売上を知り、売上を伸ばす施策を打ち出さなければ、激しい競争の中で生き残ることはできません。

そこで今回は、美容室の平均的な売上や、経営破綻リスクのある美容室の年商の目安、美容室の売上を伸ばす具体的な方法について解説します。

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1.美容室の平均的な売上はいくら?

美容室を安定して経営するためには、まず美容室の平均的な売上を知る必要があります。厚生労働省が公開している「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査報告美容業」によると、条件別の売上高は下記の通りです。いずれも平成27年度分の売上高となります。

<経営主体別1施設あたりの平均売上高>

個人経営 7,908,000円
株式会社・有限会社 38,643,000円

<営業年数別1施設あたりの平均売上高>

5年未満 15,037,000円
5~9年 9,149,000円
10~19年 13,643,000円
20~29年 6,533,000円
30~39年 13,558,000円
40~49年 5,557,000円
50年以上 21,967,000円

<立地条件別1施設あたりの平均売上高>

商業地区 15,855,000円
住宅地区 7,715,000円
複合施設内 11,225,000円
郊外 18,765,000円
その他 7,814,000円

出典:厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査報告美容業」

上記から、美容室の1年における売上は1,000万~1,500万円程度が目安と言えるでしょう。ただし、各条件によって美容室の売上は変わるため、自店の条件と一致する売上高と照らし合わせることが重要です。

 

1-1.客数・客単価に基づく1日・1か月の売上

美容室を経営する上では、1年あたりの平均売上額だけでなく、1日あたり・1か月あたりの平均的な売上を知ることも大切です。1日あたり・1か月あたりの売上は、客数と客単価から算出できます。

美容室における平均的な客数・客単価・利用料金は、下記の通りです。

平日における1施設あたりの1日平均客数 5.5人
休日における1施設あたりの1日平均客数 7.3人
客1人あたりの平均利用料金 5,681.3円

出典:厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査報告美容業」

上記の数値から、平日・休日における1日あたりの売上を算出し、1か月あたりの売上を計算すると、下記の結果となります。

平日の1日あたりの平均売上 5,681.3円×5.5人=31,247円
休日の1日あたりの平均売上 5,681.3円×7.3人=41,473円
平日21日・休日4日稼働した場合の1か月あたりの平均売上 (31,247円×21日)+(41,473円×4日)
=822,079円

また、美容室は性別によっても利用率や客単価が異なります。株式会社リクルートライフスタイルの調査によると、2020年度における女性全体の平均利用金額は6,846円、男性全体の平均利用金額は4,241円です。女性全体の年間利用回数は平均4.48回、男性全体の年間利用回数は平均5.48回となっています。

出典:株式会社リクルートライフスタイル「【美容センサス2020年上期】≪美容室・理容室編≫」

このことから、美容室の利用頻度は女性よりも男性のほうが多いものの、1回あたりの利用金額は女性のほうが高いことがわかります。

 

2.【要注意】経営破綻リスクのある美容室の平均年商

美容室の経営状態をチェックしたいときは、美容室全体の平均年商と自店の年商を比較しましょう。

美容室全体の平均年商は、平均客数と平均単価から算出できます。先述した通り、美容室の平均的な客数は平日で5.5人、休日で7.3人です。客1人あたりの平均利用料金は5,681.3円であるため、平日21日・休日4日稼働したとすると、1か月あたりの売上は822,079円となります。

出典:厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査報告美容業」

この数字を使って美容室全体の平均年商を算出すると、下記のようになります。

美容室全体の平均年商 822,079円×12か月
=9,864,948円

したがって、美容室全体の平均年商は約1,000万円となります。ここから、税金や諸経費を差し引き、スタイリストや従業員に支払う人件費を考慮すると、手元に残る金額はさらに少なくなります。

また、厚生労働省の調査によると、美容所の施設数や美容師数は年々増加しています。 1997年から2017年までの20年間で美容業営業施設数は約5万店増加し、美容師数は1.6倍となりました。

出典:厚生労働省「収益力の向上に向けた取組みのヒント」

「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査報告美容業」において、美容室の約80%が経営上の問題点として「客数の減少」を挙げていることからも、美容室の経営は厳しい状況であることが伺えます。そのため、美容室全体の平均年商よりも自店の年商が大幅に下がっている場合は、売上をアップするための施策を早々に打ち出す必要があります。

 

3.美容室の売上を伸ばす4つの方法

美容室の施設数は増加する一方で客数は減少傾向にある中、売上を伸ばすためには、他店との差別化を図ることが重要です。ただ客数を増やしたり客単価を上げたりするだけでは、売上アップを実現することはできません。

最後に、美容室の売上を伸ばすために有効な方法を4つ紹介します。

 

3-1.多様なメニューを用意して来店頻度を高める

カット・カラー・パーマなどの画一的なサービス内容以外に、メイク・ネイル・エステ・ブライダルなどトータルビューティーを叶える多様なメニューも用意し、来店の機会を増やしましょう。

たとえば、パーマの待ち時間を使って、ネイルケアやマッサージの施術を受けられるセットメニューを提供すれば、顧客は時間を有効的に活用することができます。また、ヘアカラーを選択した顧客に向けて、髪の毛と眉毛の色を揃える眉毛カラー・眉毛カットの追加オプションメニューを案内すれば、客単価アップが期待できます。

どのようなメニューが顧客の来店につながるかは、美容室の客層によって異なります。接客中の会話から顧客のニーズを汲み取り、顧客の利用が見込める自店に有効なメニューを考えてください。

 

3-2.美容技術・接客技術を向上して顧客満足度を上げる

美容室の売上を伸ばすためには、何度も自店を利用してくれるリピーターを増やすことが重要です。

「ただ髪を切るだけ」「何となく会話をするだけ」では、顧客の期待に応えられず、初回来店から次回来店につながりません。特に、女性は美容師の提案や技術にシビアです。カット技術・カラー技術の向上に励むことはもちろん、目の前の顧客が何を望んでいるかを考えながらサービスを提案しましょう。顧客満足度を上げることで、「次回も利用したい」と思ってもらえるようになります。

また、美容室の接客・サービスに満足した顧客が、SNSやポータルサイトによい口コミを投稿してくれれば、新規客の集客につながる可能性もあります。

 

3-3.仕入れの見直しや節電対策でコストを削減する

美容室の利益を増やすためには、売上を上げるだけでなく、固定費を削減することも重要です。

たとえば、店販商品や新製品を導入する際は、仕入れ先を比較検討することで、商品をより安く購入できる可能性が高くなります。仕入れ価格を下げるために、一括購入や共同購入を行うことも一案です。また、「LED照明や人感センサー付き照明に取り替える」「空調設備の設定温度を見直す」という省エネも電気代の節約になります。

仕入れの見直しや節電対策などの小さな積み重ねが、着実なコスト削減につながります。

 

3-4.ICTを導入して美容師の生産性アップを図る

美容室にICTを導入すると、顧客の来店履歴やヘアスタイルの仕上がりをデータで管理できるようになります。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットなどの端末でも確認できるため、スタッフ間で顧客情報を簡単に共有でき、接客力が向上するでしょう。

また、ホームページを利用した予約システムは、スタッフの電話対応にかかる時間が減り、美容師の生産性向上につながります。美容室の空いている時間がわかるだけでなく、自分の都合のよい時間に簡単に予約できるため、顧客が他店に流れる機会損失を防ぐこともできます。

近年は、スマートフォン決済や電子マネー決済の普及が進んでいます。ICTの導入により決済手段を増やすことで、顧客の利便性向上を図ることも効果的です。

 

まとめ

美容室の平均的な年間売上は1,000万~1,500万円です。ただし、美容室の経営状態によって、売上は変動します。客数・客単価も踏まえて自店と他店の売上を比較し、美容室経営に問題がないか確かめるとよいでしょう。

美容室の売上を伸ばすためには、他店と差別化を図れる有効的な施策を実施しなければなりません。特に、定期的に来店するリピーターの確保は重要です。顧客満足度を高めるメニューや一人ひとりの要望に対応する接客などを実施し、安定した経営を目指しましょう。